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Japanische Klassiker mit Furigana

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まど

鷹野つぎ――人と文学

鷹野 つぎ

Lesen Sie 鷹野つぎ――人と文学 (まど) von 鷹野 つぎ (たかのつぎ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.840 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

まだ私の息子も娘も時折り思いついた品物を携えて見舞いに来ていたので、そういう時には小谷さんは慇懃一方のひとであった。

小谷さんのよろこぶ聖書の朗読や、話を聴く代りに、私は寛ろいだ方面に話を向けようと思って、

「小谷さんは九州のお生れでしたね、海岸ですか」

「長崎ですの」

答えた小谷さんの口調には、私がかの女の望むものを避けていると見てとった、無愛想があった。

「お家をはなれて、こういうお仕事を持つには、あなたにもお考えがあったんでしょうねえ」

「私はすべてを主に捧げておりますから、家も両親も兄弟も、もう私に戻れとは申しません。私の堅い決心は皆の心をも動かしましたの。もう私は病者の友となり、主に仕える歓びでいっぱいでございます」

小谷さんはこう無駄口を急いできりあげたいように、一気に云った。私はかの女の口辺に冷やかなる笑いが掠めたのも見てとった。

重い症状で黙って窓ばかり見ているような病人の取扱いには、小谷さんを辟易させるものがあったに相違なかった。それにもう四十の上を半ばも越えたいい年配で、ぼんやり雲を眺めている姿は、少し耄けても見えた。小谷さんは腹を立てたように安静あけの朝夕の床掃除に、雑巾棒をぐいぐいと私のベッドのまわりにも当てながら、讃美歌を歌った。