Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

おうむぐらかえくびでんせつ

鸚鵡蔵代首伝説

国枝 史郎

Lesen Sie 鸚鵡蔵代首伝説 (おうむぐらかえくびでんせつ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.083 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

音はといえばそればかりであった。

「お前もほんとうに可哀そうだったねえ」としみじみとした声でお篠は云った。

「お父様やお母様の書信で聞いたのだが、いわばお前は、不具者のようにされて育てられて来たのだってねえ。……でもここへ来たからには大丈夫だよ。もうそのような固苦しいみなりなどしていなくてもよいのだよ」

「はいお姉様、ありがとう存じます」

「おや」と不意にお篠は左右を見廻した。

「首がない! 妾の首が!」

「お姉様」と菊弥は驚き、

「いいえ首は……お姉様の首は……ちゃんとお姉様の肩の上に……」

「首がない! 妾の首がない! 男ばかりの首の中に、たった一つだけある女の代首! それが妾に似ているところから、旦那様が、お篠、これはお前の首じゃと云われ、日頃いっそう大切にお扱い下された首! その首がないのじゃ!」

なお左右を見廻したが、

「お蔵へ残して来た覚えはなし……何としたことだろう?」

じっと眼を据えた。

「奥様」とこの時、菊弥の背後から、濁みた、底力のある声が聞こえてきた。

菊弥は振り返って見た。彼がこの部屋へ入って来た時、引き開け、そのまま閉じるのを忘れていた襖の間に、身丈の高い、肩巾の広い、五十近い男が、太い眉、厚い唇の、精力的の顔を、お篠の方へ向けて立っていた。