Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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むぎのめ

麦の芽

徳永 直

Lesen Sie 麦の芽 (むぎのめ) von 徳永 直 (とくながすなお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.532 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

――起きて縄でもないてぇ、草履でもつくりてぇ、――そう思っても、孝行な息子達夫婦は無理矢理に、善ニョムさんを寝床に追い込み、自分達の蒲団までもってきて、着かせて、子供でもあやすように云った。

「ナアとっさん、麦がとれたら山の湯につれてってやるけん、おとなしゅう我慢していてくんなさろ……」

しかし、善ニョムさんは、リュウマチの痛みが少し薄らいだそれよりもよっぽど尻骨の痛みがつよくなると、我慢にも寝ていられなくなった。善ニョムさんは今朝まだ息子達が寝ているうちから思案していた。――明日息子達が川端田圃の方へ出かけるから、俺ァひとつ榛の木畑の方へ、こっそり行ってやろう――。

二

畑も田圃も、麦はいまが二番肥料で、忙しい筈だった。――榛の木畑の方も大分伸びたろう。土堤下の菜種畑だって、はやくウネをたかくしとかなきゃ霜でやられる――善ニョムさんは、小作の田圃や畑の一つ一つを自分の眼の前にならべた。たった二日か三日しか畑も田圃も見ないのだが、何だか三年も吾子に逢わないような気がした。

「もう嫁達は、川端田圃へゆきついた時分だろう……」

頃合をはかって、善ニョムさんは寝床の上へ、ソロソロ起きあがると、股引を穿き、野良着のシャツを着て、それから手拭でしっかり頬冠りした。