Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
さとう
麻布襍記 ――附・自選荷風百句
永井 荷風
Lesen Sie 麻布襍記 ――附・自選荷風百句 (さとう) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.256 Zeichen · 77 Bildschirme
二人は再び顔を見合した。
雨は夜と共に降増って来たものと見えて、一時杜絶えた点滴の音のみならず庭樹を揺る風の音につれて雨戸ががたがたしだした。
「大分風が出た。また電燈が消えなければよいが。」
「この位な風なら大丈夫で御在ましょう。それよりか何ですかいやに蒸すようで御在ますから、地震でもなければよう御在ます。」
「梅の散る時分にはどうも時候が狂うものだ。いつだったか彼岸前に雪の降った事があったな。」
老人はその時鼠の走る音に天井を見上げた眼を床の間の方に移した。床の間には松飾に雪のつもった画幅の懸けられてある下に、盆栽の木瓜がもう散るばかりになっている。
「これは正月の掛物だ。すっかり取替るのを忘れていた。」
「わたくしも、どうしたんで御在ましょう。今年は清子がいませんから加留多会もしませんし御雛様もないものですから。」
「気のついた時取替えて置こう。また忘れてしまうから。わたしの座敷から何か持って来てくれんか。何でもよいよ。画より字の方がよいだろう。」
老妻は静に座を立って縁側の端なる老人の居間から箱に入れた掛物を二本ほど持って来た。
「どれがよろしいのかわかりませんから。