Japanische Klassiker mit Furigana
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よみから
黄泉から
久生 十蘭
Lesen Sie 黄泉から (よみから) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.167 Zeichen · 21 Bildschirme
芸者たちが、おもて、みよし、艫とわかれておもいおもいに空へ川面へ銀扇を飛ばすと、ひらひらと千鳥のように舞いちがうのが月の光にきらめいて夢のようにうつくしい。おけいは中ノ間の座布団に坐って父の膝にもたれ、ニコニコ笑いながらながめていた。
こんな育てられかたをしたので、鷹揚なことはこのうえもなく、放っておけば一日でもご飯を食べずにおっとりと坐っている。けっしてものをねだったり、催促したりしない娘だった。
昭和十年の冬、堀川が自火をだして丸焼けになり、両親は東京を遠慮するといって鵠沼へひっこんだが、間もなく死んでしまった。おけいは赤坂表町の須藤という弁護士の家へあずけられ、三崎町の仏英和女学校へ通っていたが、水曜日にはルダンさんのところへきてフランス語の勉強をしていた。いまにして思うと、光太郎がフランスへ連れて行ってくれるものときめ、その用意をしていたわけだった。
日本を発つ前の晩、おけいは別れにきた。茄子紺の地に井桁を白く抜いた男柄の銘仙に、汚点ひとつない結城の仕立おろしの足袋というすっきりしたようすでやってきて、おばあさまの琴爪をちょうだいといった。