Japanische Klassiker mit Furigana
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こうちょうのなげき
黄鳥の嘆き
甲賀 三郎
Lesen Sie 黄鳥の嘆き (こうちょうのなげき) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.792 Zeichen · 82 Bildschirme
野村の悪友達は、二川の事を野村にいう場合には、極って、「お前の華族の友達」といった。この言葉は、親しい友達の間で行われる、相手を嫌がらせて喜ぶ皮肉たっぷりのユーモアでもあるが、同時に、彼等が「華族」というものに対する或る解釈――恐らくは羨望と軽侮との交錯――を表明しているのでもあることを、野村はよく知っていた。
それで、野村は悪友達から二川の事をいわれるのを余り好まなかった。野村は別に二川を友達に持っていることを、誇りとも、恥とも思っていないし、二川を格別尊敬も軽蔑もしていないのだが、それを変に歪めて考えられることは、少し不愉快だった。
それに、野村と二川とは性格が正反対といっていゝほどで野村は極く陽気な性質だったし、二川は煮え切らない引込思案の男だった。この二人が親しくしていたのは、性格の相違とか、地位の相違とかを超越した歴史によったものだった。
というのは、二川重明の亡父重行は、やはりもう故人になった野村儀作の父儀造と、幼い時からの学校友達であり、後年儀造は二川家の顧問弁護士でもあった。そんな関係で、野村と二川は極く幼い時から親しくし、小学校は学習院で、同級だったし、中学では別れたが、後に帝大で科は違うが、又顔を合せたりして、学校の違う間も互に往来はしていたのでいわば親譲りの友人だった。