Japanische Klassiker mit Furigana
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こうちょうのなげき
黄鳥の嘆き
甲賀 三郎
Lesen Sie 黄鳥の嘆き (こうちょうのなげき) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.792 Zeichen · 82 Bildschirme
然し、交換条件そのものは、可成重武に有利なものだったらしい。というのは、重武はその後東京に引移り、二川家から相当額の支給を受けて、大きな顔をしてブラリ/\と懐手で暮していたらしいのである。
尤も、彼はお清は苦手らしかった。だから彼女が二川家にいる時分はやゝ遠退いていたが、彼女が去ると、次第に二川家に出入するようになって、今から約十年以前に未亡人朝子が死に、続て間もなく野村の父が死ぬと、もう恐ろしいものがないので、大びらに二川家に這入り込んで、我もの顔に振舞っていたのだった。未亡人の亡くなる前後から以来の事は野村にも確乎した記憶があるのだ。
書類を残らず読み終った時には、夏の日ももう暮れかゝっていた。
野村は夕暗の迫って来る、庭をじっと見つめながら、父がこの書類を殊更に遺して行った意味を考えた。
母の言葉では、重明が死んだ時か、又は二川家に変った事が起った時に、開けて見よというのであるから、父は恐らく未だ重武に対して警戒をゆるめず、万一、何か野心を逞うして事件を起した時に、それを阻止するように野村に命じたものであろうか、重明が死んだ時にという方は、彼が死んで終えば、すべては解消するから、最早秘密はないというつもりなんだろう。