Japanische Klassiker mit Furigana
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くろいとう
黒い塔
小川 未明
Lesen Sie 黒い塔 (くろいとう) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.802 Zeichen · 8 Bildschirme
いずれは、どこか遠いところに移されてしまうであろうと思うと、気がおちつくこともできません。いっそ、自分からこの城を去ってしまいたいなどと思って、毎日、窓ぎわに立って遠く、あてなくながめていられました。
この街には、昔から、高い、不思議な塔が立っていました。だれがこの塔を建てたものかわかりません。また、なんのために造ったものかわかりません。人々は気味悪がって、かつてひとりとして、この塔の上に登ったものはなかったのであります。
このきみ悪い、白い塔が、ちょうどこの姉の姫の立っていられる窓から、かなたに見えたのであります。
夕暮れ方の光を受けて、その塔は、謎のように、白壁や、煙突や、その他工場の建物や、雑然とした屋根などが見える、街の中にそびえて、そこらを見下ろしていました。
いましも、ふと姉の目が、この不思議な高い塔の頂に止まりますと、思いなしか、その塔が手招ぎするような気がしたのであります。
「これは、わたしの目のせいであろう。」と思って、姉の姫は、いってみるなどという妄想は断たれました。そのうちに、日は沈んで、静かな夜は街の上にかかると、したがって塔の影も見えなくなってしまいました。