Japanische Klassiker mit Furigana
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くろいとう
黒い塔
小川 未明
Lesen Sie 黒い塔 (くろいとう) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.802 Zeichen · 8 Bildschirme
けれども姉は、そんなことを気にかけませんでした。また、たとえ命を捨てるようなことがあっても、それを惜しまないと思いましたから、ただ一人で、その暗い、わずかにこわれかかった窓からさしこむ、光線をたよりとして、一段一段上へと登ってゆきました。姫は、日ごろ自分の心を慰める、小さな竪琴を携えてゆくことを忘れませんでした。これだけは、つねに姫の仲のよい友だちであって、月夜の晩に、花の下に姫を慰めたのであります。
暗い塔の中は、冷たい、しめった空気がみなぎっていました。また階段には、人の骨だか、獣物の骨だかわからぬようなものが、散らばっていたりしました。姫は、それらの上を踏んだりまたいだりして上ってゆきました。
やっと塔の頂上に達しますと、そこは体をいれるだけの狭いへやになっていました。もとより、ほこりがたまっていました。姉は、そこにすわりました。そして、その塔のいちばん高い窓から四方をながめることができました。
そこからは、鏡のように光った海が見えました。街は目の下になって、大きな建物も小さく見え、往来などは白い筋のようにかすんで、人影などは、ありのようになって見えたのです。