Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こくてん

黒点

豊島 与志雄

Lesen Sie 黒点 (こくてん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.665 Zeichen · 62 Bildschirme

Aozora Bunko

私は寝間着一枚で震えていた。母に殴られた頭や頸筋が痛むのを心で見つめていた。そして、カフェーへはただ行きたかったから行ってみた、金は自分で持っていた、とそう簡単に答えたきり、何を云われようと黙りこくっていた。

姉も母に代っていろんなことを云った。それからまた母が怒り出した。私はも一度殴りつけられた。

そしてるうちに、皆黙りこんでしまった。しいーんとなった。私は云うものか云うものかと思っていたが、気が弛んできた拍子に、お清のことが頭に映ってきた。

私はふと吃驚して顔を挙げてみた。母も姉も一度だってお清の名を口にしなかった。当然そこに持出される筈のお清のことが、皆から忘れられていた。

私は前後の考えもなく、勝ち誇ったように云ってやった。

「お清ちゃんに行ってもいいかと云ったら、いいって云うから行ったんだよ。」

母と姉とは眼を見合せた。それから母は私を見据えて云った。

「お銭もお清ちゃんから貰ったのかい。」

「うむ。」と私は答えた。

「嘘じゃないだろうね。」

「嘘じゃないよ。」

母は何だか少し安心したもののようだった。姉が得意そうに母の顔を見た。私には訳が分らなかった。