Japanische Klassiker mit Furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Lesen Sie 黒百合 (くろゆり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.148 Zeichen · 154 Bildschirme
中には夜行をするのに、あの印ばかり狙いおる奴がある。ぐッすり寐込んででもいようもんなら、盗賊が遁込んだようじゃから、なぞというて、叩き起して周章てさせる。」
「酷いことを!」
島野は今更のように多磨太の豪傑面を瞻った。
「何に其等はほんの前芸じゃわい。一体何じゃぞ、手下どもにも言って聞かせるが、野郎と女と両方夢中になっとる時は常識を欠いて社会の事を顧みぬじゃから、脱落があってな、知らず知らず罪を犯しおるじゃ。私はな、ただ秘密ということばかりでも一種立派な罪悪と断ずるで、勿論市役所へ届けた夫婦には関係せぬ。人の目を忍ぶほどの中の奴なら、何か後暗いことをしおるに相違ないでの。仔細に観察すると、こいつ禁錮するほどのことはのうても、説諭位はして差支えないことを遣っとるから、掴み出して警察で発かすわい。」
「大変だね。」
「発くとの、それ親に知れるか、亭主に知れるか、近所へ聞える。何でも花火を焚くようなもので、その途端に光輝天に燦爛するじゃ。すでにこないだも東の紙屋の若い奴が、桜木町である女と出来合って、意気事を極めるちゅうから、癪に障ってな、いろいろ験べたが何事もないで、為方がない、内に居る母親が寺参をするのに木綿を着せて、汝が傾城買をするのに絹を纏うのは何たることじゃ、という廉をもって、説諭をくらわした。