Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くろゆり

黒百合

泉 鏡花

Lesen Sie 黒百合 (くろゆり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.148 Zeichen · 154 Bildschirme

Aozora Bunko

お兼は身を任せて引かれ進むと、言うがごとく洞穴の突当りから左へ曲る真暗な処を通って、身を細うして行くとたちまち広し。

「まだまだ深いのかい。」

「もう可い、ここはね、おい、誰も来る処じゃあねえよ。おいらだって、余程の工面で見着け出したんだ。」

滝太郎はこう言いながら、手なる燈を上げて四辺を照らした。

と見ると、処々に筵を敷き、藁を束ね、あるいは紙を伸べ、布を拡げて仕切った上へ、四角、三角、菱形のもの、丸いもの。紙入がある、莨入がある、時計がある。あるいは銀色の蒼く光るものあり、また銅の錆たるものあり、両手に抱えて余るほどな品は、一個も見えないが、水晶の彫刻物、宝玉の飾、錦の切、雛、香炉の類から、印のごときもの数えても尽されず、並べてあった。その列の最も端の方に据えたのが、蝦茶のリボン飾、かつて勇美子が頭に頂いたのが、色もあせないで燈の影に黒ずんで見えた。傍には早附木の燃さしが散ばっていたのである。

地獄谷の響、神通の流の音は、ひとしきりひとしきり脈を打って鳴り轟いて、堆いばかりの贓品は一個々々心あって物を語らんとするがごとく、響に触れ、燈に映って不残動くように見えて、一種言うべからざる陰惨の趣がある。