Japanische Klassiker mit Furigana
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くろべきょうこく
黒部峡谷
木暮 理太郎
Lesen Sie 黒部峡谷 (くろべきょうこく) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.752 Zeichen · 26 Bildschirme
また奥鐘山の峭壁は真に垂直に近いもので、魔神が天斧を揮ってザクリと截ち剖った其片割れは、何処へけし飛んでしまったか判らないが、他は二、三百米から六、七百米もある花崗岩の大懸崖となって儼然と残っている。大雨の際には其壁面に数条の大瀑布が出現して一時の奇観を呈する。中廊下には黒ビンカ或は段々ベツリなど呼ばれる岩壁があり、奥廊下にも薬師岳の下に幾つかの岩壁はあるが、孰れも規模が稍小さいので、下廊下のような険怪と豪宕とを欠いている。そうかというて不用意に入り込めば大困難に遭遇するはいう迄もないことである。
河幅は六、七間から三、四十間、広い所は一町以上もある代りに、狭い所は三、四間しかない。中にも猿飛附近は最も峡勢の窄迫した所で、二間半多くて三間とはあるまい。両岸とも下へ行く程円く抉れて、岩面は磨いたように光沢を帯びている、それへ幾尋の深さあるか知れない瀞の水色が反射して凄い藍色の影が映っている。あたりは木立が深い。私が想像した黒部の谷は、想ったより明い谷であったが、此処は想ったよりも暗い所であった。
黒部峡谷が斯くまで豪宕を極めた形式を具えていることは、要するに之を構成する岩石が花崗岩類である為と称してよいであろう。