Japanische Klassiker mit Furigana
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つづみくらべ
鼓くらべ
山本 周五郎
Lesen Sie 鼓くらべ (つづみくらべ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.577 Zeichen · 18 Bildschirme
彼女の勝は確実である。そしてあの御簾の前に進んで賞を受けるのだ。遠くから姿を拝んだこともない大守の手で、一番の賞を受けるときの自分を考えると、その誇らしさと名誉の輝かしさに身が顫えるのであった。
やがて、ずいぶん長いときが経ってから、遂にお留伊の番がやって来た。
「落着いてやるのですよ」
師匠の仁右衛門は自分の方でおろおろしながら繰返して云った。「……御簾の方を見ないで、いつも稽古するときと同じ気持でおやりなさい、大丈夫、大丈夫きっと勝ちますから」
お留伊は静かに微笑しながらうなずいた。
相手は矢張り能登屋のお宇多であった。曲は「真の序」で、笛は観世幸太夫が勤めた。……拝礼を済ませてお留伊は左に、お宇多は右に、互の座を占めて鼓を執った。
そして曲がはじまった。お留伊は自信を以て打った、鼓はその自信によく応えて呉れた。使い慣れた道具ではあったが、かつてそのときほど快く鳴り響いたことはなかった。……三ノ地へかかったとき、早くも充分の余裕をもったお留伊は、ちらと相手の顔を見やった。
お宇多の顔は蒼白め、その唇はひきつるように片方へ歪んでいた。それは、どうかして勝とうとする心をそのまま絵にしたような、烈しい執念の相であった。