Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
つづみのね
鼓の音
田中 貢太郎
Lesen Sie 鼓の音 (つづみのね) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.667 Zeichen · 4 Bildschirme
と、鼓の音がばったり止んだ。主翁は明るい陽の光がさしてほかほかとしているとっつきの室の障子を開けてみた。八畳ばかりの室の中には、緋縮緬の長襦袢の上に青色の扱帯を締めた、島田に結うた壮い女が右の手を突いて艶かしく横膝に坐り、それと向き合って双子らしい袷を着た壮い色の白い男が鼓を肩にしてすわっていた。その日は二階に客も歌妓も、婢も、何んにもいないことを知っている主翁は、びっくりして眼をみはった。そして主翁が何か云おうとすると二人の姿はふと消えてしまった。
主翁は入口に立ったなりで、考え深そうな眼つきをしていたが、「邪魔をしてすまなかったな」と云って、そして、静かに障子を締めて階下におりたが、不思議な男女のことはその大きな腹にしまい込んで何人にも話さなかった。
それから十日ばかりしてまた静かな日が来た。主翁が帳場で帳面を直していると、婢の一人が蒼い顔をして入って来た。
「旦那、旦那」
婢の声は顫えていた。主翁は筆を持ったなりに顔をあげた。
「なんだ」
「変なことがあるんですよ」
「なんだ」
「今ね、私が二階の掃除をしようと思ってあがって往きますとね」
主翁はすぐ思いあたった。