Japanische Klassiker mit Furigana
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ねずみざか
鼠坂
Lesen Sie 鼠坂 (ねずみざか) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.781 Zeichen · 16 Bildschirme
」
「よせ」と、小川は鋭く通訳あがりを睨んだ。主人はどっしりした体で、胡坐を掻いて、ちびりちびり酒を飲みながら、小川の表情を、睫毛の動くのをも見遁がさないように見ている。そのくせ顔は通訳あがりの方へ向けていて、笑談らしい、軽い調子で話し出した。「平山君はあの話をまだしらないのかい。まあどうせ泊ると極めている以上は、ゆっくり話すとしよう。なんでも黒溝台の戦争の済んだ跡で、奉天攻撃はまだ始まらなかった頃だったそうだ。なんとか窩棚と云う村に、小川君は宿舎を割り当てられていたのだ。小さい村で、人民は大抵避難してしまって、明家の沢山出来ている所なのだね。小川君は隣の家も明家だと思っていたところが、ある晩便所に行って用を足している時、その明家の中で何か物音がすると云うのだ。」通訳あがりは平山と云う男である。
小川は迷惑だが、もうこうなれば為方がないので、諦念めて話させると云う様子で、上さんの注ぐ酒を飲んでいる。
主人は話し続けた。「便所は例の通り氷っている土を少しばかり掘り上げて、板が渡してあるのだね。そいつに跨がって、尻の寒いのを我慢して、用を足しながら、小川君が耳を澄まして聞いていると、その物音が色々に変化して聞える。