Japanische Klassiker mit Furigana
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はなのひょうげん
鼻の表現
夢野 久作
Lesen Sie 鼻の表現 (はなのひょうげん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.303 Zeichen · 141 Bildschirme
「人民保護の警官が人民を斬るとはなに事ぞ」
と大道演説壇上で男泣きに泣く人を民衆は神様として担ぎ上げます。しかしこの人のためなら生命を捨ててもと思うものはただの一人も無いのであります。
天下を窺う奸物の部下に就くものは、恩賞に眼がくれた欲張りか情誼にほだされた愚物か、又は奸物を承知でくっ付いた奸物かに限られているようであります。聡明敏慧抜群の士でも、権謀術策を以て人を率いようとする限り、その部下に心服されないという実例は、昔から数多く伝えられているようであります。
「添われぬ位なら一層死にます」
と親には云いながら、女には土壇場で、
「お前はおれを欺すのじゃあるまいね」
と今一度念を押したくなるのは、その女の鼻の表現の底に横たわる冷やかな或るものに感じている証拠ではありますまいか。
云い寄る男に心は引き付けられながら、親しい学友にそっと手紙を見せて、
「あたしどうしようかと思っているのよ」
と相談をして見るのは、相手の言葉と鼻の表現とにそぐわないところがあるのにいつとなく感じた不安からでありましょう。
悪魔式鼻の表現の苦手は、いつでも音なしい正直な人間か又は数等上手を行く明眼達識の士かであります。