Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

シーせんせいへのてがみ

C先生への手紙

宮本 百合子

Lesen Sie C先生への手紙 (シーせんせいへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.519 Zeichen · 60 Bildschirme

Aozora Bunko

雑信(第一)

C先生――。

其後は大変御無沙汰致して仕舞いました。東京も、さぞ暑くなった事でございましょう。白い塵のポカポカ立つ、粗雑なペンキ塗の目に痛く反射する其処いらの路を想像致します。御丈夫でいらっしゃいますでしょう。

此間中から、私の思って居る種々の事を申上度いと思って居りましたが、つい延び延びに成って仕舞いました。決して忘れて居たのではございませんが、近頃、私の生活の上に起った変動は、非常に大きく私の精神上に波動を与えました。決して混乱ではございません。が、その大きく力強い濤が、勇ましく打寄せて、或程度まで落付いて仕舞うまで、私は口を緘んで、じっと自分の魂の発育を見守って居たのでございます。

家を離れて来てから、時間としては、まだ僅か半年位ほか経っては居りません。

けれども、海を境にして、私の「彼方」でした生活と、今「此処」で為る生活との間には、殆ど時間が測定する事の出来ない差がございます。眼が少しは物象を見るようになりました。耳が微かながら、箇々の声を聴くようになりました。つまり、私は漸々自分に生きて来たのでございましょう。