Japanische Klassiker mit Furigana
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シーせんせいへのてがみ
C先生への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie C先生への手紙 (シーせんせいへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.519 Zeichen · 60 Bildschirme
と云うものを無いと認める事は出来ませんでしょう。
私心ないと云う事、我見のないと云う事は、自分の持って居る或る箇性、人間性を、絶大なフ遍性と同一させた境地でございましょう。「我」と云う小さい境を蹴破って一層膨張した我ではございますまいか。その境で、人はもう、小さい「俺」や「私」やにはなやまされては居ません。けれども、天神の眼を透す、総ての現象は、天地を蓋う我から洩れる事はございません。地を這う蟻の喜悦から、星の壊る悲哀まで、無涯の我に反映して無始無終の彼方に還るのではございますまいか。
同じ、「我」と云う一音を持ちながら、その一字のうちに見る差が在る事でございましょう。考えて見ると冷汗が出ます。けれども、冷汗を掻くからと云って、凝とすくんで居るべきではございません。持って居るものは育てなければなりません。下らない反動や、反抗やらで、尊い「我」に冒涜を加えず、自分の周囲に渦巻いて居る事象に迷わされず、如何程僅かでも純粋に近い我を保って、見、聴、生きるべきではございますまいか。
C先生。私斯様な前提を置いてから、少し許り、私がこちらへ来てから「私」の感じた事を書いて行こうとして居ります。