Japanische Klassiker mit Furigana
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ディーざかのさつじんじけん
D坂の殺人事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie D坂の殺人事件 (ディーざかのさつじんじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.072 Zeichen · 44 Bildschirme
そして、この場合こう考えるより外に方法がないのです。
さて、犯人の着物の縞柄は分りましたが、これでは単に捜査範囲が縮小されたという迄で、まだ確定的のものではありません。第二の論拠は、あの電燈のスイッチの指紋なんです。僕は、さっき話した新聞記者の友達の伝手で、小林刑事に頼んでその指紋を――君の指紋ですよ――よく検べさせて貰ったのです。その結果愈々僕の考えてることが間違っていないのを確めました。ところで、君、硯があったら、一寸貸して呉れませんか」
そこで、私は一つの実験をやって見せた。先ず硯を借りる、私は右の拇指に薄く墨をつけて、懐から半紙の上に一つの指紋を捺した。それから、その指紋の乾くのを待って、もう一度同じ指に墨をつけ前の指紋の上から、今度は指の方向を換えて念入りに押えつけた。すると、そこには互に交錯した二重の指紋がハッキリ現れた。
「警察では、君の指紋が犯人の指紋の上に重って、それを消して了ったのだと解釈しているのですが、併しそれは今の実験でも分る通り不可能なんですよ。いくら強く押した所で、指紋というものが線で出来ている以上、線と線との間に、前の指紋の跡が残る筈です。