Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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Sふじんへのてがみ

S夫人への手紙

岸田 国士

Lesen Sie S夫人への手紙 (Sふじんへのてがみ) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.921 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

あなたにはすぐにおわかりのことゝ思いますが、なぜ、日本人は、古今東西に亘つて、粉にはネギがつきものだということ、更に、粉と油とはよくうつるということを、うつかり忘れてしまつているのでしようか? ごらんなさい。

すこし料理の心得のあるものでも、パンのおかず(この考え方を小生は改めたいのですが)にネギぬきの惣菜をこしらえます。はなはだしいのは、配給のパンにジヤムだけをつけて食事と称しているのです。おかしかつたのは、汽車の弁当に、手製のパンとタクアンというのをみかけました。

実際、現在では、粉が手にはいる割に、ネギとアブラとがところによつては入手困難です。特にネギは、粉食にはなくてならぬものという古今東西の習慣を、西洋風のパンとなると、つい、一般家庭では問題にしていないために、需要供給ともに停滞している結果と思われます。粉を常食とする以上、小生は、なによりも、ネギをもつとたくさん作つて各家庭へ出まわるようにすると同時に、なんのアブラでもいゝから、脂肪分をなんとか工面する方法を講じたら、(栄養の点から動物蛋白がその上いることは別として)手のあまりかゝらぬ料理で、粉食が活きて来るし、存外、飽きないですむと思うのです。