Japanische Klassiker mit Furigana
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エスみさきせいようふじんこうさつじけん
S岬西洋婦人絞殺事件
夢野 久作
Lesen Sie S岬西洋婦人絞殺事件 (エスみさきせいようふじんこうさつじけん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.951 Zeichen · 52 Bildschirme
手錠をかけられたまま観念の眼を閉じて、犬田博士と正対した椅子に腰をかけさせられると、気力の慥かなスゴイ瞳をあげて、博士の顔をジロリと見ると又ヒッソリと瞼を閉じた。その豊富な角苅の銀髪とブラシのように生やしたゴリラ式の狭い前額と太い房々とした長生眉と、大きく一文字に閉じた唇を見ると、成る程これならば嫌疑の掛かるのも無理はないと考えられそうな野性的な、頑固一徹の性格をあらわしていた。
しかし犬田博士は平気であった。その東作爺のモノスゴイ視線を、博士一流の柔和な、親切そうな微笑でニッコリと受流しながら朝日を一本吸付けて一文字の口に啣えさしてやった。それから自分も一本火を点けて啣えながら、今一度ニッコリとして椅子を進めた。
「爺さん。御苦労だったね。お前に罪の無い事は僕が知っているよ。だから今となっては何もかも洗い泄い話した方がよくはないか。その方が娘さん夫婦のためになると思うがどうだね。ロスコー家の秘密を何もかも話してくれないかね。ロスコーさんは、あれから直ぐに自殺してしまったんだからね」
博士の言葉が終らないうちに東作老人が、口に啣えてスパスパ美味そうに吸っていた煙草をポロリと膝の間へ落した。