Japanische Klassiker mit Furigana
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“のうひつジム”
“能筆ジム”
Lesen Sie “能筆ジム” (“のうひつジム”) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.488 Zeichen · 9 Bildschirme
いよ/\“能筆ジム”の最後のニセ札使いの旅の日のことを話さなければならない。その彼は、農夫の服装を身につけ、彼の傑作である二十ドル札を五枚と五十ドル札を一枚ポケットにして、ニュー・ヨークに出かけた。二十ドルのニセ札を三枚処分したのちであった。彼は、三番街と十六番通りのコーナーにある食糧品店ジョン・ウェリマンの店に入っていった。彼は壜詰の洋酒が欲しかった。その店の女店員がエプロンで両手をふきつゝ奥の部屋から出て来た。彼は、自分で洋酒の壜詰を手にとって、三番街の遠く先に荷車が置いてあるから、包んでくれなくともよいと云いながら、二十ドルのニセ札を女店員に手渡した。
幸といおうか、不幸といおうか、その女店員がニセ札を受け取ったとき、彼女の指先はまだ濡れていた。彼女は“能筆ジム”に釣銭を渡したが、相手が店から姿を消してまもなくインクが自分の指先についていることに気づいた。一瞬このインクのしみが何からついたものかと戸惑った。そのとき彼女は、反射的に自分があつかった二十ドル紙幣を見つめていた。なるほどその札の通し番号は見事に書かれてはいるが、ほんの少しよごれているようだ。