Japanische Klassiker mit Furigana
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ああぎょくはいにはなうけて
ああ玉杯に花うけて
佐藤 紅緑
Lesen Sie ああ玉杯に花うけて (ああぎょくはいにはなうけて) von 佐藤 紅緑 (さとうこうろく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.617 Zeichen · 250 Bildschirme
猛太は仰天した、かれはふたたび火中に飛びこんだ、もう火の手は床一面にひろがった、右を見ても左を見ても火の波がおどっている。天井には火竜の舌が輝きだした。
「巌!」
猛太の胸ははりさけるばかりである、かれはもう凶悪な三百代言でもなければ、不正な政党屋でもない、かれのあらゆる血はわが子を救おうとする一心に燃えたった。
かれは煙に巻かれて窒息している巌の体に足をふれた、かれは狂気のごとくそれを肩にかけた、そうしてきっと窓の方を見やった。がかれは爛々たる炎の鏡に射られて目がくらんだ、五色の虹霓がかっと脳を刺したかと思うとその光の中に画然とひとりの男の顔があらわれた。
「やあ覚平!」
かれはこう叫んで倒れそうになった、とたんに覚平の腕は早くもかれの胴体をかかえた。
「おい、しっかりしろ」と覚平はいった。
「きさまはおれを殺しにきたのか」
「助けにきたんだ」
覚平は猛太と巌を左右にかかえた、そうして全力をこめて窓の外へおどりでた。
当直の人々や近所の人々によって火は消されたが、室内の什器はほとんど用をなさなかった。重要な書類はことごとく消失した。
人々は窓の外に倒れている猛太父子を病院に送った。