Japanische Klassiker mit Furigana
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あのかお
あの顔
大倉 燁子
Lesen Sie あの顔 (あのかお) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.009 Zeichen · 22 Bildschirme
夫は道楽者で、私と結婚する前から一人の女がありました、その女はカフェのマダムだったんだそうですが、夫は会社の近くに家を持たせ、会社への往復には必ず立ちよるという風で、その事を知らなかったのは私ばかり、会社の人達をはじめ誰一人知らない者はありませんでした。みんなは私よりもその妾の方へおべっかをつかい、奥様々々と云っていました」
「とかくそんなものですよ。金持ちというものは、――実際には正妻より妾の方が勢力があるものと定っていますからね」
「私はまるで床の間の置物で、世間へ体裁をつくるための妻だったのです。私は面白くない月日を送るようになりました。恰度昨年の今頃ですわ、ふとした機会から妾が姙娠したことを聞き込みました」
「あなたのお子さんは?」
「私には子どもはありません。妾に姙娠までされてはもう私は手も足も出ない、どうしたものか、一層身を退いて夫と別れようかとも思いましたが、考えてみるとそれは妾に負けたことになり、損をするのは私ばかり、私がいなくなれば、もっけの幸いと家へ乗り込み正妻になおるのは火を見るより明らかです。厭でもここは頑張らなくつちゃ、妾なんか家へ入れてたまるものか、と私は思い返しましたのですが――」