Japanische Klassiker mit Furigana
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あめんちあ
あめんちあ
富ノ沢 麟太郎
Lesen Sie あめんちあ von 富ノ沢 麟太郎 (とみのさわりんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.594 Zeichen · 83 Bildschirme
こんなふうに思い耽っていると、彼は型の見えない巌石の階段を少しずつ降りているかのような恐怖に襲われるのであった。
そうして今日と言われるその日その日は、更に彼自身の気持を暗くして行った。
彼は母親の手紙を読んだだけで、最早万事は露見してしまったのではないかと疑った。
そうしてその疑惑は一瞬ごとに波紋をひろげて行った。
美角夫人は彼を監視しているのであろう、それなのに何故彼女は金を与えたのであったろう。
彼女は嘘を吐かれたとは思わなかったのであろうか。
彼女は微笑みに輝いた真ならぬ偽を理解しかねたのであろうか、彼の言葉が彼女を惹きつけたのであろうか、彼の声の調子は彼女の心を衝き返さなかったのであろうか。
それとも彼女は彼の心のなかに見てはならない何ものかを約束したのであったろうか。
否、彼はすべて善い方面のみを見ようとしている――しかし実際彼は彼女の気に入るように骨折った。
彼は自分の心からの憔悴を彼女の前で隠した。
彼女はいままでに見せつけられなかった彼の態度から多少なりとも驚愕と嫌悪とを感じなかったのである――そうして彼女には彼自身へ向ける疑惑の心などは更にないのである、否、そんな態度などは少しも見せなかったのである――と、するなら彼の生活を誰が彼の母親へ告げしらしてやったのであろう。