Japanische Klassiker mit Furigana
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あるニュー・フェイスへのてがみ
あるニュウ・フェイスへの手紙
岸田 国士
Lesen Sie あるニュウ・フェイスへの手紙 (あるニュー・フェイスへのてがみ) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 49.146 Zeichen · 96 Bildschirme
なるほど、そういう風に催促でもしなければ、君のあの役は、出来不出来は別として、わざわざ批評家が取りあげるほど重要な役ではない。君はそれが心外なのだろう。
僕もまだ、あれだけを見て、君の芸術を論じる気にはなりませんよ。そこで、逃げを打って、いずれゆっくり話でもしようと答えたのが運のつきでした。何時会うかという君の手紙をたしかにみたが、どうも今のところゆっくり話をしている時間がないので、こういう手紙を返事の代りに出すことにしました。
先ず最初に言いたいことは、俳優の芸、つまり、いろいろな要素をひっくるめた俳優の魅力ぐらい、誰にでもすぐにわかる「美」は、ほかの芸術の領域にはないと、僕は思います。従って、俳優なら、批評家や好事家の註釈やおせっかいはちっとも必要でないばかりでなく、最も正しく、かつ厳しい批評家は、観衆そのものだという説を僕は信じています。あとは、好悪の問題です。
かたくなな先入見をもった批評ほど、俳優を毒するものはありません。その意味で、日本では、新劇ファンと呼ばれる観衆ぐらい、従来の新劇を歪め、俳優を萎縮させるのに役立った観衆を僕は知りません。