Japanische Klassiker mit Furigana
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あるかいそうから
ある回想から
宮本 百合子
Lesen Sie ある回想から (あるかいそうから) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.899 Zeichen · 14 Bildschirme
すると、いま、名を思い出せないけれども、ある新聞の学芸部の記者の人が、
「やア、どうです」
近づいてきながら、大きい声でいった。
「感想はいかがです」
わたしは、ゆっくり立ちどまって、挨拶をかえした。
「感想って……。私はこれから、稲子さんのところへ行くんだけれども……」
「へえ」
ひどく案外らしく、
「知らないんですか」
といわれた。
「執筆禁止ですよ」
「誰が?」
「宮本百合子、中野重治それから――」何人かの姓名が告げられた。評論家も何人か入っている。窪川夫妻も、すれすれだろうということであった。私は、かかえた風呂敷包みの中に、ついそこで買ったお正月用の「きんとん」の包をもっていた。半分は、白いうずら豆の「きんとん」ではあったが、たっぷりあって、去年も、その前の年の暮にもしたように、稲子さんの子供たちと半分ずつわけようと、潰さないようにもっているのであった。
「じゃあ、ともかく稲子さんのところへ行ってみましょう」
「それがいいです、じゃ、いずれ――」
わかれて、省線にのり、やはり「きんとん」の包みをかばいながら、高田馬場からなじみふかい小瀧橋への通りを歩きながら、なんともいえず奇妙な落つけない気分がした。