Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるなつのひのこと

ある夏の日のこと

小川 未明

Lesen Sie ある夏の日のこと (あるなつのひのこと) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 1.545 Zeichen · 3 Bildschirme

Aozora Bunko

午後になって勇ちゃんは、学校から帰ると、庭に出て、一人で遊んでいました。

「勇ちゃん、はちの巣があってよ。」

彼女は、弟の顔を見ました。

「ああ、知っている。」

「え、知っているの。」

弟が、どうして、それを落とさなかったろうと疑われました。

「姉さん、つつじの木だろう。お母さんばちがひとりで巣を造っているのだよ。」

「ええ、そうなの。」

「このあいだから見ると、だいぶ大きくなった。あの穴の中に子供がいるんだね。暑いときは、水盤の水を含んでいって、巣の上を冷やしているよ。」

「まあ。」

そんなくわしいことまで、いつ弟は観察していたのだろうとびっくりしました。

しかし、姉さんは、弟が、どんなにそのはちをかわいがっているかを、まだ知らなかったのです。

「君、はちの子を持っていくと、ほんとうによく釣れるよ。」

子供たちは、日課のように、みんなで川へ釣りに出かけました。彼らは、血眼になって、はちの巣をさがしていたのです。勇ちゃんは、その話を聞くたびに、庭のはちの巣を目に浮かべました。このごろ母ばちの片方の羽がすこし破れているのを考えると、胸が痛くなるのを感じました。ほかの子供は、どこからか、はちの子をさがして持っていくことがあったが、勇ちゃんだけは、いつもうどん粉の餌を造って、釣りに出かけたのでした。