Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いのちのしょや

いのちの初夜

北条 民雄

Lesen Sie いのちの初夜 (いのちのしょや) von 北条 民雄 (ほうじょうたみお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.366 Zeichen · 63 Bildschirme

Aozora Bunko

「御勉強ですか」

「いえ、つまらないものなんですよ」

歔欷きは相変わらず、高まったり低まったりしながら、止むこともなく聞こえていた。

「あの方どうなさったのですか」

「神経痛なんです。そりゃあひどいですよ。大の男が一晩中泣き明かすのですからね」

「手当てはしないのですか」

「そうですねえ。手当てと言っても、まあ麻酔剤でも注射して一時をしのぐだけですよ。菌が神経に食い込んで炎症を起こすので、どうしようもないらしいんです。何しろ癩が今のところ不治ですからね」

そして、

「初めの間は薬も利きますが、ひどくなって来れば利きませんね。ナルコポンなんかやりますが、利いても二、三時間。そしてすぐ利かなくなりますので」

「黙って痛むのを見ているのですか」

「まあそうです。ほったらかして置けばそのうちにとまるだろう、それ以外にないのですよ。もっともモヒをやればもっと利きますが、この病院では許されていないのです」

尾田は黙って泣き声の方へ眼をやった。泣き声というよりは、もう唸り声にそれは近かった。

「当直をしていても、手の付けようがないのには、ほんとに困りますよ」

と佐柄木は言った。

「失礼します」