Japanische Klassiker mit Furigana
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いのちのしょや
いのちの初夜
北条 民雄
Lesen Sie いのちの初夜 (いのちのしょや) von 北条 民雄 (ほうじょうたみお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.366 Zeichen · 63 Bildschirme
それは消燈が十時と定められているためで、何もそんなにまでして読まねばならないということはなかったのであるが、それが小説で、面白かったものだからつい夜更(ふか)ししてしまったのだ。
起き上がると、私はまず急いで鏡を取り出して調べてみた。痛むのを我慢して、眼球を左右にぐりぐりと動かせてみたり、瞼をひっくり返してみたりして真っ赤になっているのを確かめると、今押し込んだばかりの布団をまた押入れから引き出して横になった。左はそれほどでもなかったが、右眼は兎のようになっていたのだ。私はまだ子供のころにはずいぶん眼を患らって祖父母を悩ませたものであるが、大きくなってからは一度も医者にかかったことがなかった。洗眼一つしたことがなかったので、不安はよけい激しかった。
それに私を不安にするのは、こうした充血が確実に病気の進行を意味しており、一度充血した眼は、もう絶対に恢復(かいふく)することがないからである。もちろん充血はすぐ除れるが、しかし一度充血するとそれだけ視力が衰えているのである。そして、こういうことが重なり重なって、一段一段と悪くなり、やがて神経痛が始まったり、眼の前に払っても払っても除れない黒いぶつぶつが飛び始める。