Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
うすゆきしょう
うすゆき抄
久生 十蘭
Lesen Sie うすゆき抄 (うすゆきしょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.454 Zeichen · 59 Bildschirme
そんなことは戦争には避けられぬ茶番のようなものだ、と小太郎は口ではいっていたが、心の底では、いつどこで仕返しをされるかわからぬという不安にたえず脅かされているふうで、小田原の町へ現われるときは、いつも何人か手下を連れ、たまさか一人で入谷津へやってくるときは、月のない夜中にかぎっていた。
大炊介は見かけの割に豪胆で、一廉の役には立つはずであったが、小太郎はただの一度もカマリに誘ったことがなかった。そういう稼業に嫌悪を感じている証拠なので、大炊介に父姓を名乗ることを禁じたのも、その辺に人知れぬいわくがあったのだと思うほかはない。
その父も死んでもう居ない。昨年の秋、どこかの戦争で重傷を受けて帰り、貝津藤吉という手下を連れて木賀の湯へ湯治に行ったが、それっきり帰って来なかった。藤吉にたずねると、「大将はいけませんでした」とそれだけ答えた。墓はと聞いたが口を噤んで返事をしない。乱破の墓のあるところが知れると、怨みのある土着人が死体をひきずり出しにくるので、乱破の仲間以外にはけっして明かさないものだということであった。別な話だが、風摩小太郎の墓のありかがわかったら、第一番に死体をひきだしに来るのはたぶん蘆屋道益だったろう。