Japanische Klassiker mit Furigana
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うすゆきしょう
うすゆき抄
久生 十蘭
Lesen Sie うすゆき抄 (うすゆきしょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.454 Zeichen · 59 Bildschirme
時ならぬ銃声に驚いて、邸の内外から居るだけの家人や兵隊が集まって来、倒れている人体と道益の顔を見くらべながら口々にざわめきたつうち、資子と行子が、これも寝入端を驚かされたひょんな顔で庭先に出て来た。
「人が倒れているようですが、何事だったのですか」
鼻稜を白ませて資子がたずねたが、道益は至極上機嫌で、
「人でなどであるか、あれは狸よ。このせつ、夜な夜な池のほとりに迷いだして来るので、一発のもとに仕止めてくれた。見ていろ、いまに尻尾を出す」
そういいながら、行子のほうへ振返った。
「小狩衣なぞを着こみ、南蛮頬までつけている。したたか劫を経た狸とみえる」
夏頃から夜な夜なここで抱かれていた当の恋人が、知死期の苦悶を型づけながら死んでいる姿を見たら、とても耐えられるものであるまい。泣きだすか、狂乱するか、わめくかと側目づかいで行子の顔を見ていたが、行子はなんの気振りも見せず、描いたような美しい口元をひきしめながらあどけなく露草のなかをながめている。
頭もまわるらしいが、健気でもある。それにしても、なんという気丈な娘だろうと道益は心のなかで舌を巻いていると、行子は道益のほうに顔をかえしながら、