Japanische Klassiker mit Furigana
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おおかみとひと
おおかみと人
小川 未明
Lesen Sie おおかみと人 (おおかみとひと) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.224 Zeichen · 9 Bildschirme
彼は、なんとなく後ろ髪を引かれるような気持ちがしましたが、おそるおそる前に向かって、歩き出しました。すると、おおかみは、まったく彼のいったことを聞きわけたものとみえて、害を加えるようすもなく、与助の後について歩いてくるのでありました。
与助は、たびたび後を振り向いてみるだけの勇気もありませんでした。おおかみは彼の後ろ一、二間も離れて、のそりのそりと、ともをするようについてきました。
「家へいったら、にわとりを三羽やるぞ。」と、与助は、ちょうど念仏を唱えるように、同じことを繰り返していいながら歩きました。
おおかみが彼に対して、まったくなにもしないということを悟ると、彼は、心でいろいろのことを考えはじめました。
「早く、村の灯火が見えてくれればいい。」と思ったり、また、
「にわとりを三羽やる約束をしたが、どのにわとりをやったらいいものだろう。」と思ったりしました。
しかし考えてみると、やるようなにわとりはなかったのです。いずれも去年の秋高い値を出して買ったので、いま、卵をよく産んでいるのでありました。それをおおかみにやってしまうのはまったく惜しいことでありました。