Japanische Klassiker mit Furigana
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おさん
おさん
Lesen Sie おさん von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.343 Zeichen · 21 Bildschirme
二、三週間、静養して来たい。このままだと、僕は、気が狂いそうだ。とにかく、東京から逃げたいんだ。」
そのひとから逃げたくなって、旅に出るのかしら、とふと私は考えました。
「お留守のあいだに、ピストル強盗がはいったら、どうしよう。」
と私は笑いながら、(ああ、悲しいひとたちは、よく笑う)そう言いますと、
「強盗に申し上げたらいいさ、あたしの亭主は気違いですよ、って。ピストル強盗も、気違いには、かなわないだろう。」
旅に反対する理由もありませんでしたので、私は夫のよそゆきの麻の夏服を押入から取り出そうとして、あちこち捜しましたが、見当りませんでした。
私は青白くなった気持で、
「無いわ。どうしたのでしょう。空巣にはいられたのかしら。」
「売ったんだ。」
夫は泣きべそに似た笑い顔をつくって、そう言いました。
私は、ぎょっとしましたが、しいて平気を装って、
「まあ、素早い。」
「そこが、ピストル強盗よりも凄いところさ。」
その女のひとのために、内緒でお金の要る事があったのに違いないと私は思いました。
「それじゃ、何を着ていらっしゃるの?」
「開襟シャツ一枚でいいよ。」
朝に言い出し、お昼にはもう出発ということになりました。