Japanische Klassiker mit Furigana
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おさん
おさん
Lesen Sie おさん von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.343 Zeichen · 21 Bildschirme
長女のマサ子も、長男の義太郎も、何か両親のそんな気持のこだわりを敏感に察するものらしく、ひどくおとなしく代用食の蒸パンをズルチンの紅茶にひたしてたべています。
「昼の酒は、酔うねえ。」
「あら、ほんとう、からだじゅう、まっかですわ。」
その時ちらと、私は、見ました。夫の顎の下に、むらさき色の蛾が一匹へばりついていて、いいえ、蛾ではありません、結婚したばかりの頃、私にも、その、覚えがあったので、蛾の形のあざをちらと見て、はっとして、と同時に夫も、私に気づかれたのを知ったらしく、どぎまぎして、肩にかけている濡れ手拭いの端で、そのかまれた跡を不器用におおいかくし、はじめからその蛾の形をごまかすために濡れ手拭いなど肩にかけていたのだという事もわかりましたが、しかし、私はなんにも気附かぬふりを仕様と、ずいぶん努力して、
「マサ子も、お父さまとご一緒だと、パンパがおいしいようね。」
と冗談めかして言ってみましたが、何だかそれも夫への皮肉みたいに響いて、かえってへんに白々しくなり、私の苦しさも極度に達して来た時、突然、お隣りのラジオがフランスの国歌をはじめまして、夫はそれに耳を傾け、