Japanische Klassiker mit Furigana
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おじさんのはなし
おじさんの話
小山 清
Lesen Sie おじさんの話 (おじさんのはなし) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.232 Zeichen · 42 Bildschirme
おじさんは一寸さっぱりしていくからと云って、床屋に寄った。私も一緒に這入って、おじさんがひげを剃ってもらっている間を、所在なく待っていた。私はなんだか自分が、おじさんの附馬ででもあるかのような気がした。その店は小汚なく、古風な感じで、肩がこらなかった。私は壁に貼ってあるポスターの中の、豊満な体をした支那美人に、うっかり見とれたりした。
水天宮の都電の停留場のところで電車を待っている間に、おじさんは不意に、
「一寸そこまで行ってくるから。」
と云いすてて、私になにも云いかける隙を与えずに、足早にすぐ目の前にある水天宮の境内へ這入っていった。流石におじさんの後を追うわけにもいかなかった。それにおじさんがこのまま私を撒くとは思えなかった。私はそこに佇んで、おじさんが戻ってくるのを待った。やがて電車を四、五台見送った時分に、おじさんは戻ってきた。その顔を見て、私は合点がいった。――おじさん、一寸覗いてきたな。おじさんのおなかのなかの勝負の虫は、もはや活溌に動きはじめて、おじさんは先刻から痺をきらしていたのに違いなかった。
店に帰ってから、それでもおじさんは二、三日は神妙にしていた。