Japanische Klassiker mit Furigana
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おじさんのはなし
おじさんの話
小山 清
Lesen Sie おじさんの話 (おじさんのはなし) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.232 Zeichen · 42 Bildschirme
それでも私の徴用先はつい近くの三河島にあったので、私は店に寝泊りして通うことができた。その頃新聞の方も専売から合配に変っていて、配達は近くの小学校の生徒たちが交代でやってくれていた。そのなかには、私の馴染みのお得意の息子たちもいた。おじさんは相変らず紙分けをやり、世話の焼ける少年配達夫の面倒を見ていた。ある日、工場から帰ってきた私に、おじさんがにやにや笑いながら云った。
「近いうちにいいことがあるよ。」
「いいことって、おれにかい?」
「うん。」
「なんのことだい?」
「思い当ることはないのか。」
「思い当ることなんかあるものか。」
「おめでたい話だよ。」
「へえ?」
私にはどうも合点がいかなかった。けげんそうにしている私に、おじさんはわけを話してくれた。その日、興信所の調査員が来て、私のことをいろいろおじさんから聴取していったというのであった。
「心配することはいりません。おめでたい話です。」
と調査員は云ったという。興信所の話でおめでたいと云えば、さしずめ縁談だろう。けれども私にはさっぱり思い当ることなどはなかった。一体どこの誰が、そんなおめでたい話で、私の身許調査などをする気になったのだろう。