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Japanische Klassiker mit Furigana

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おせん

おせん

邦枝 完二

Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

……」

「はてまァ、何んという野暮だろうのう」

「どうか察しておやンなすって。おせんにして見りゃ、自分から文を書いたな始めての、いわば初恋とでも申しやしょうか。はずかしい上にもはずかしいのが人情でげしょう。道ッ端で展げたとこを、ひょっと誰かに見られた日にゃァ、それこそ若旦那、気の弱いおせんは、どんなことになるか、知れたもんじゃござんせん。野暮は承知の上でござんす。どうか、ここンところをお察しなすって……」

谷中から上野へ抜ける、寛永寺の土塀に沿った一筋道、光琳の絵のような桜の若葉が、道に敷かれたまん中に佇んだ、若旦那徳太郎とおせんの兄の千吉とは、折からの夕陽を浴びて、色よい返事を認めたおせんの文を、見せろ見せないのいさかいに、しばし心を乱していたが、この上の争いは無駄と察したのであろう。やがて徳太郎は細い首をすくめた。

「あたしゃ気が短いから、どこへ行くにしても、とても歩いちゃ行かれない。千吉つぁん、直ぐに駕籠を呼んでもらおうじゃないか」

「合点でげす」

千吉は二つ返事で頷いた。

二

徳太郎と千吉とが、不忍池畔の春草亭に駕籠を停めたのは、それから間もない後だった。