Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おせん

おせん

邦枝 完二

Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうか、お聞かせなすっておくんなせえやし」

「浜村屋は、役者を止めざァならねえんだ」

「何んでげすッて」

「口が裂けてもいうじゃァねえぞ。――南御町奉行の、信濃守様の妹御のお蓮様は、浜村屋の日本一の御贔屓なんだ」

「ではあの、壱岐様からのお出戻りの。――」

「叱っ。余計なこたァいっちゃならねえ」

「へえ」

「さ、帰ンねえ」

「有難うござんす」

千吉は、ふところの小判を気にしながら、ほっとして頭を下げた。

襟に当る秋の陽は狐色に輝いていた。

七

無理やりに、手習いッ子に筆を握らせるようにして、たった二行の文ではあったが、いや応なしに書かされた、ありがたく存じ候かしこの十一文字が気になるままに、一夜をまんじりともしなかったおせんは、茶の味もいつものようにさわやかでなく、まだ小半時も早い、明けたばかりの日差の中を駕籠に揺られながら、白壁町の春信の許を訪れたのであった。

弟子の藤吉から、おせんが来たとの知らせを聞いた春信は、起き出たばかりで顔も洗っていなかったが、とりあえず画室へ通して、磁器の肌のように澄んだおせんの顔を、じっと見詰めた。

「大そう早いの」

「はい。