Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おせん

おせん

邦枝 完二

Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

「かしこまりました」

藤吉は、万年青の葉から掃除の筆を放すと、そのまま萩の裾を廻って、小走りにおもてへ出て行った。

「今時分、おせんがいないはずはないから、ひょっとすると八五郎の奴、途中で誰かに遇って、道草を食ってるのかも知れぬの。堺屋でもどっちでも、早く来ればいいのに。――」

濡れた手拭を、もう一度丁寧に絞った春信は、口のうちでこう呟きながら、おもむろに縁先の方へ歩み寄った。すると、その額の汗を拭きながら駆け込んで来たのは、摺師の八五郎であった。

「行ってめえりやした」

「御苦労、御苦労。おせんはいたかの」

「へえ。居りやした。でげすが師匠、世の中にゃ馬鹿な野郎が多いのに驚きやしたよ。あっしが向うへ着いたのは、まだ六つをちっと回ったばかりでげすのに、もうお前さん、かぎ屋の前にゃ、人が束ンなってるじゃござんせんか。それも、女一人いるんじゃねえ。みんな、おいらこそ江戸一番の色男だと、いわぬばかりの顔をして、反りッかえってる野郎ぞっきでげさァね。――おせんちゃんにゃ、千人の男が首ッたけンなっても、及ばぬ鯉の滝のぼりだとは、知らねえんだから浅間しいや」

「八つぁん。