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Japanische Klassiker mit Furigana

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おせん

おせん

邦枝 完二

Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

今さらお前さんとこの太夫が、金鋲を打った駕籠で迎えに来ようが、毛筋一本動かすような女じゃねえから安心しておいでなせえ。痴話喧嘩のとばっちりがここまでくるんじゃ、師匠も飛んだ迷惑だぜ」

松五郎はこういって、ぐっとおこのを睨みつけた。

五

暗の中を、鼠のようになって、まっしぐらに駆けて来た堺屋の男衆新七は、これもおこのと同じように、柳原の土手を八辻ヶ原へと急いだが、夢中になって走り続けてきたせいであろう。右へ行く白壁町への道を左へ折れたために、狐につままれでもしたように、方角さえも判らなくなった折も折、彼方の本多豊前邸の練塀の影から、ひた走りに走ってくる女の気配。まさかと思って眼をすえた刹那瞼ににじんだ髪かたちは、正しくおこのの姿だった。

新七は、はッとして飛び上った。

「おお、お上さん」

「あッ。お前はどこへ」

「どこへどころじゃござりません。お上さんこそ今時分、どちらへおいでなさいました」

「わたしは、お前も知っての通り、あの絵師の春信さんのお宅へ、いって来ました」

「そんならやっぱり、春信師匠のお宅へ」

「お前がまた、そのようなことを訊いて、何んにしやはる」