Japanische Klassiker mit Furigana
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おばなさわ
おばな沢
山本 周五郎
Lesen Sie おばな沢 (おばなさわ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.479 Zeichen · 45 Bildschirme
節子は彼の手を握ってやった。彼は眼をうるませ、いかにも安心したように、大きく深い吐息をついた。
――そんなにお苦しくなるまで召上るものではございませんね、少しは加減して召上ればよろしいのに。
――そうなんです。よく承知しているんですが、ついやり過して後悔するんです、どうしてこうだらしがないのか、――いつも失敗ばかりして、恥ずかしい思いばかりして、われながらあいそがつきますよ。
節子は握った手を、そっと撫でてやった。泣かされて帰った子供が、母の膝で安心してあまえている。そういう感じが節子をとらえ、切ないような気持にさせた。彼は半刻ばかりそうしていた、自分の孤独な性分や、母と折合えない淋しさや、生きることがいかに退屈であるか、などということを云い続けた。
――ときどきふっと死にたくなる、夜中に起きて刀を抜いて、独りでじっとその刀をみつめるんです、すると光った刀の表面が透けてきて、その中に無限のように深い空間がみえる、……ああ、あなたにわかるでしょうか、人間の生きることが無意味であるように、死ぬことさえも意味がない、ではどうしたらいいか、……云って下さい、こんなとき私はどうしたらいいでしょう。