Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おばなさわ
おばな沢
山本 周五郎
Lesen Sie おばな沢 (おばなさわ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.479 Zeichen · 45 Bildschirme
「――そうでした」
相良は眼を伏せてそっと頷いた。
「――彼を射たのは番所の矢でした」
「ああやっぱり」
節子は叫んで、歯を噛みしめながら眼をぎらぎらさせて相手を見た。全身がひき裂けそうな感じである。そこに戸田を殺した人間がいるではないか。そんな早い時刻に、戸田が部屋にいないことを、どうして彼が知ったのか、どうして彼だけが心配して、彼ひとりで捜しにでかけたのか。部下も大勢いるではないか、捜すならなぜ部下たちに命じなかったのか。
「わたくしにはわかります」
節子はふるえながら云った。
「わかっています、誰が戸田を殺したか、土民などではありません、いいえ決して、もっと身近な、もっと卑しい、そして」
「――節子、やめろ」
うしろで泰馬の叫ぶ声がした。
「そして正直らしい顔をしている人です、それは、今そこにいる」
「黙れ、黙れ節子」
兄がうしろからとびつき、片手で節子の口を塞いだ。しかしその必要はなかったのである。節子は気力をつかいはたしていた。兄が手で塞がなくとも、あとの言葉は出なかったであろう。泰馬の腕で抱えられたとたん、彼女は眼がくらみ、なにもかもわからなくなった。