Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おもかげ

おもかげ

宮本 百合子

Lesen Sie おもかげ von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.997 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

朝子は自分が気を失うようになった打撃のうちには、謂わば自分がここにこうしている、その現実をもたらしているあらゆるものが、まるで逆にとめられていることを身に迫って感じた。

十を越したばかりの妹のつや子のことは分らなかったが、上の弟の和一郎とも朝子自身とも保の気質はすっかり違った。保が、赤いポンポンのついた帽子をかぶっていた小学の二年ぐらいのとき、或る朝、学校の前にある緩くて長い坂のところで同級の友達たちが何人か群になって、そこをギーギー云いながらのろくさくのぼって来る電車を追い越そうとして、一生懸命電車のわきを走っているのを見つけた。保はその電車にのっているのであった。殆ど同時に学校についた。そしたらハアハア云って背中のランドセルの中で筆入を鳴らしながら駆けて来た友達たちが、先生! 先生! 僕たち電車とかけっこして来たんですよ、と叫んだ。「そしたら先生が、そりゃ偉かったね、って褒めたの。でも僕褒めるなんて変だと思うなア、ねえ。人間より電車が早いにきまってるのに。心臓わるくしちゃうだけだ、ねえ」そういう意見で保は母に話した。多計代は、それを保の思慮のふかさの例として家庭のひとつ話にした。