Japanische Klassiker mit Furigana
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おせいとうじょう
お勢登場
江戸川 乱歩
Lesen Sie お勢登場 (おせいとうじょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.784 Zeichen · 24 Bildschirme
親戚、出入の者、医師、警察官、急を聞いてはせつけたそれらの人々で、広い座敷が一杯になった。検死の形式を略する訳には行かず、態と長持の中にそのままにしてあった、格太郎の死体のまわりには、やがて係官達が立並んだ。真底から歎き悲しんでいる弟の格二郎、偽りの涙に顔を汚したおせい、係官に混ってその席に列ったこの二人が、局外者からは、少しの甲乙もなく、どの様に愁傷らしく見えたことであろう。
長持は座敷の真中に持ち出され、一警官の手によって、無造作に蓋が開かれた。五十燭光の電燈が、醜く歪んだ、格太郎の苦悶の姿を照し出した。日頃綺麗になでつけた頭髪が、逆立つばかりに乱れた様、断末魔そのものの如き手足のひっつり、飛び出した眼球、これ以上に開き様のない程開いた口、若しおせいの身内に、悪魔そのものがひそんででもいない限り、一目この姿を見たならば、立所に悔悟自白すべき筈である。それにも拘らず、彼女は流石にそれを正視することは出来ない様子であったが、何の自白をもしなかったばかりか、白々しい嘘八百を、涙にぬれて申立てるのだ。彼女自身でさえ、どうしてこうも落ちつくことが出来たのか、仮令人一人殺した上の糞度胸とはいえ、不思議に思う程であった。