Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おせいとうじょう
お勢登場
江戸川 乱歩
Lesen Sie お勢登場 (おせいとうじょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.784 Zeichen · 24 Bildschirme
坊やを呼んで来るといい」
彼は虚勢を張って、快活らしく答えるのであった。此頃では、何につけても虚勢が彼の習慣になっていた。
そういう日に限って、女中達の心づくしか、食膳にはいつもより御馳走が並ぶのであった。でも格太郎はこの一月ばかりというもの、おいしい御飯をたべたことがなかった。子供の正一も家の冷い空気に当ると、外の餓鬼大将が俄にしおしおして了うのだった。
「ママどこへ行ったの」
彼はある答えを予期しながら、でも聞いて見ないでは安心しないのである。
「おじいちゃまの所へいらっしゃいましたの」
女中が答えると、彼は七歳の子供に似合わぬ冷笑の様なものを浮べて、「フン」と云ったきり、御飯をかき込むのであった。子供ながら、それ以上質問を続けることは、父親に遠慮するらしく見えた。それと彼には又彼丈けの虚勢があるのだ。
「パパ、お友達を呼んで来てもいい」
御飯がすんで了うと、正一は甘える様に父親の顔を覗き込んだ。格太郎は、それがいたいけな子供の精一杯の追従の様な気がして、涙ぐましいいじらしさと、同時に自分自身に対する不快とを感じないではいられなかった。でも、彼の口をついて出た返事は、いつもの虚勢以外のものではないのだった。