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Japanische Klassiker mit Furigana

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おりつとこらと

お律と子等と

芥川 竜之介

Lesen Sie お律と子等と (おりつとこらと) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.195 Zeichen · 51 Bildschirme

Aozora Bunko

と同時に神山は、派手なセルの前掛けに毛糸屑をくっつけたまま、早速帳場机から飛び出して来た。

「看護婦会は何番でしたかな?」

「僕は君が知っていると思った。」

梯子の下に立った洋一は、神山と一しょに電話帳を見ながら、彼や叔母とは没交渉な、平日と変らない店の空気に、軽い反感のようなものを感じない訳には行かなかった。

三

午過ぎになってから、洋一が何気なく茶の間へ来ると、そこには今し方帰ったらしい、夏羽織を着た父の賢造が、長火鉢の前に坐っていた。そうしてその前には姉のお絹が、火鉢の縁に肘をやりながら、今日は湿布を巻いていない、綺麗な丸髷の襟足をこちらへまともに露していた。

「そりゃおれだって忘れるもんかな。」

「じゃそうして頂戴よ。」

お絹は昨日よりもまた一倍、血色の悪い顔を挙げて、ちょいと洋一の挨拶に答えた。それから多少彼を憚るような、薄笑いを含んだ調子で、怯ず怯ず話の後を続けた。

「その方がどうかなってくれなくっちゃ、何かに私だって気がひけるわ。私があの時何した株なんぞも、みんな今度は下ってしまったし、――」

「よし、よし、万事呑みこんだよ。」

父は浮かない顔をしながら、その癖冗談のようにこんな事を云った。