Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おりつとこらと
お律と子等と
Lesen Sie お律と子等と (おりつとこらと) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.195 Zeichen · 51 Bildschirme
「もう御診断は御伺いになったんですか?」と、強い東北訛の声をかけた。
「いや、あなたが御見えになってから、申し上げようと思っていたんですが、――」
谷村博士は指の間に短い巻煙草を挟んだまま、賢造の代りに返事をした。
「なおあなたの御話を承る必要もあるものですから、――」
戸沢は博士に問われる通り、ここ一週間ばかりのお律の容態を可成詳細に説明した。慎太郎には薄い博士の眉が、戸沢の処方を聞いた時、かすかに動いたのが気がかりだった。
しかしその話が一段落つくと、谷村博士は大様に、二三度独り頷いて見せた。
「いや、よくわかりました。無論十二指腸の潰瘍です。が、ただいま拝見した所じゃ、腹膜炎を起していますな。何しろこう下腹が押し上げられるように痛いと云うんですから――」
「ははあ、下腹が押し上げられるように痛い?」
戸沢はセルの袴の上に威かつい肘を張りながら、ちょいと首を傾けた。
しばらくは誰も息を呑んだように、口を開こうとするものがなかった。
「熱なぞはそれでも昨日よりは、ずっと低いようですが、――」
その内にやっと賢造は、覚束ない反問の口を切った。しかし博士は巻煙草を捨てると、無造作にその言葉を遮った。