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Japanische Klassiker mit Furigana

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おりつとこらと

お律と子等と

芥川 竜之介

Lesen Sie お律と子等と (おりつとこらと) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.195 Zeichen · 51 Bildschirme

Aozora Bunko

「ええ、よく云って置きます。実は今もその話をしていたんです。」

慎太郎はいつもよりも大きい声で返事をした。

「そうかい。じゃ忘れないでね、――私も昨日あたりまでは、死ぬのかと思っていたけれど、――」

母は腹痛をこらえながら、歯齦の見える微笑をした。

「帝釈様の御符を頂いたせいか、今日は熱も下ったしね、この分で行けば癒りそうだから、――美津の叔父さんとか云う人も、やっぱり十二指腸の潰瘍だったけれど、半月ばかりで癒ったと云うしね、そう難病でもなさそうだからね。――」

慎太郎は今になってさえ、そんな事を頼みにしている母が、浅間しい気がしてならなかった。

「癒りますとも。大丈夫癒りますからね、よく薬を飲むんですよ。」

母はかすかに頷いた。

「じゃただ今一つ召し上って御覧なさいまし。」

枕もとに来ていた看護婦は器用にお律の唇へ水薬の硝子管を当てがった。母は眼をつぶったなり、二吸ほど管の薬を飲んだ。それが刹那の間ながら、慎太郎の心を明くした。

「好い塩梅ですね。」

「今度はおさまったようでございます。」

看護婦と慎太郎とは、親しみのある視線を交換した。

「薬がおさまるようになれば、もうしめたものだ。